2022年ソーシャルワーク基礎演習

【授業の目的】

 社会福祉や教育、地域づくりの実践においては、自分の特性を理解することと、価値や文化の異なる他者とコミュニケーションをとり、理解を深め、相互に関わり合うことが基本となります。この演習では、ソーシャルワークの基本的技術の基礎を学ぶことを通じ、これらを身につけることを目的とします。

*1クラス18名程度の少人数クラスで、さらに4-6人の小グループで、学生同士が学びあいます。

【授業の到達目標】

①自己理解を深め、自分自身を活用しながら他者と関わるための方法を獲得する。

②他者と相互作用をはかるための基本的なコミュニケーション技術・面接技術を獲得する。

③援助実践のための基本的な文章の書き方・記録の書き方を獲得する。

④他者に取組成果を伝えるためのプレゼンテーション技術・表現方法を獲得する。

【スケジュール】

第1回 オリエンテーション・「価値観の尊重」

第2回 文章表現のルール①/人生を振り返り自己理解を深める(自己覚知)

第3-4回 コミュニケーション・スキルの基本/ライフストーリーの語らい

第5回 文章表現のルール②/援助活動と記録

第6回 グループワークの基本的考え方/クライエントとの出会い

第7回 クライエントへの関りの土台を築く(インテーク・アセスメント)

第8回 面接の構成の理解とロールプレイの準備

第9回 面接のロールプレイの実施

第10-12回 プランニング・支援の実施・モニタリング・支援の終結・事後評価新野さんの事例検討① 

第12回 新野さんの事例検討③プレゼンテーションの留意点

第13-14回 学習成果の発表と討議

第15回 リフレクションと全体のまとめ

 

【期末レポート 学生A】

 私は、ソーシャルワーク基礎演習の授業で、面接技法やグループワークなど様々な学習に取り組んだ。特に良い学びをすることができたと感じるテーマは3つある。

 1つ目は、ライフヒストリーである。私は、自分のライフヒストリーを書く前までは特に書くことがないと思っていた。しかし、私の人生には様々な出来事があったことを思い出すことができた。そして、そのような経験が今の私を形成しているのだと感じることができた。この学習から、クライエントなど、コミュニケーションを取る相手にもそのような様々な経験からその人自身が形成されていると考えると、より相手のことを理解することに繋がるのではないかと考えることができた。また、ライフヒストリーでは、その経験を相手により分かりやすく伝えるための文章表現を学ぶことができた。レポートなどは返却されることがないため、自分の文章を直してもらうことができ、貴重な体験をすることができた。

 2つ目は、面接技術である。一年生の頃は、座学による学習やオンライン授業が多かったため、実践的な学習をしたことがほとんどなかった。しかし、この学習で実践的な学習をすることができ、より良い面接技法を学ぶことができた。この学習の最初の時には、面接で前向きなことを言わないといけないと思っていたが、状況を踏まえ、適切な面接をすることが重要であると学んだ。また、自分の体験だけではクライエントの話について共感することが難しい部分もあると考えるため、日頃から小説を読んだり、映画を観たり、様々なところへ行き、体験することで感情を動かすことの大切さを学んだ。

 3つ目は、グループを通じた活動からの学び・グループを通じた援助である。私は、ニーズはたくさん考えることができたが、その先のプランを具体的に考えることができなかった。しかし、グループで話し合う中でより良い案を次々と考えることができ、グループワークの大切さを学ぶことができた。また、ただ自分たちで調べるのではなく、他のグループの発表も聞くことで、より制度や良い案を身につけることができた。今の時点では、調べながら制度を調べているが、今後は意欲的に学習し、「このニーズにはこの制度が使える。」といったように、アウトプットできるようにしたいと感じた。また、この学習では、ただ制度を当てはめるのではなく、クライエントのストレングスを活かした援助をしていく大切さも学んだ。クライエントの過去を知り、耳を傾け、その人に合った援助をすることができるソーシャルワーカーを目指していきたい。 

 以上の3つのテーマを通じ、私はソーシャルワークの基礎を学ぶことができたとともに、実践的な活動をすることができた。また、面接技法などは、頭では理解したつもりでも、実践するとなるとうまく動くことができず、ソーシャルワークの難しさについてもこの授業で体験することができた。この授業で得た経験をもとに、この先の授業や実習、さらには社会に出た際に生かしていきたい。

【期末レポート 学生B】

 本論では、ソーシャルワーク基礎演習の 各回で様々なことについて学ぶことができたが、その中でも「ライフヒストリー」、「アセスメント・プランニング」 で学んだこと について述べる。

 「ライフヒストリー 」 は、自分の人生を振り返る事で 様々なことに気づくこと ができ 、「 アセスメント・プランニング 」 については相手の立場に立つことの難しさを理解することができた 。まず、ライフヒストリーを 書いた ことで 、 今までの 人生 経験 が あった から こそ 、 今が あることに 気づく こと が できた 。 また、 他 の 人 の ライフヒストリー を 聞いた ことで それぞれ全く違う人生を歩んできていることを実感できた。 ライフヒストリーを書き始める前は、ライフヒストリーを書くほどの人生を送っていないと思っていた。しかし、人生を振り返ったことで 幼少期 から の 経験 が 積み重なっ て いる こと で 今 が あり 、 その 経験 が 今 に 影響 している のだと 感じた 。 ライフヒストリー を ただ 書いた のではなく 幼少期 から の 経験 、 人生 の 出来事 が今 の 自分 を つくっている こと を 理解 する ための もの で あった のでは ないか と 感じた 。 そして、 クライエント と 関わる 際 も 過去 の 経験 が あった から こそ 今 が ある ため 、 クライエント の過去 の 経験 等 を 知る こと は 支援 を していく 上 で 重要 に なってくる のでは ない か と 考える 。

 さらに、新野さんの事例をもと に「アセスメント・プランニング」を行ったが、相手の立場に立ち、気持ちに寄り添うことが大切であると感じた。しかし、相手の立場に立って考える・行動するなどを口で言うことはできるが、相手の立場に立つことは簡単ではない。相手の立場に立とうと思っても、経験をしたことがなかったらその人の立場に立てないということを授業で聞いて心に響き印象に残っている。

 今まで何か物事を考えるときは必ず相手の立場に立って行動したいなどと口で言っていた。しかし、経験をしたことがなかったらその方の気持ちを理解することは難しく、同じ経験をしてい たとしても価値観の違いから物事の捉え方が変わってくると考えられる。経験をしたことがない場合 は 相手の立場に立つ努力をすることが大切であり、経験をしたことがあった場合でも価値観に相違があることを理解し、自分の価値観を押し付けないことが大切であると感じた。

 以上、「ライフヒストリー」、「アセスメント・プランニング」を行った際に学んだことについて述べた。特に、相手の立場に立つ努力をすることは今後、アセスメント・プランニングをしていく立場であるという点では重要である。 本論から 、 相手の立場に立つ ということは 経験をしたこ とがなかったら相手の立場に立つことは 難しいことが明らかになった。 アセスメント・プランニングの際やクライエントと関わる際に相手の立場に立つ努力をしても 難しい場合があると考えられる が、 相手の立場に立つ努力を日頃から意識していくことが今後の課題である。

【期末レポート 学生C】 

 前期のソーシャルワーク基礎演習で自分にとって特に学びになったこととして、傾聴とグループワークの大切さがあげられる。

 まず、傾聴は援助者である以前に人としても大切なことであると私は思った。傾聴は、ただ話を聞くのではなく、相手の語る話に熱心に耳を傾けることが大切なポイントだと思った。私たちが相手の話に熱心に耳を傾けないといつまでたっても信頼関係というものは生まれないし、相手も「本当に私の話を聞いてくれているのか」と不安になるだろう。私はいつも人の話を聞くうえで心がけていることがある。それは相槌をうつことだ。実際、私が話をしているときに、話を聞いてくれている人が相槌を打ってくれると「この人はちゃんと私の話を聞いてくれているのだ」と感じ、安心して話すことができる。私たちが将来、援助者になった場合、相手の話を相槌をしっかり打ちながら聞くと、最初は緊張したり心を閉ざしていたクライエントも、自分の話に興味や関心を持ってくれていると感じて話しやすくなると思う。

 次にグループワークは今回の前期のソーシャルワーク基礎演習を通して一番大切だと感じた。私が一年生の時所属していたソーシャルワーク基礎演習のクラスでは、グループワークが一切なく、毎週あるレポート発表もすべて一人だった。しかし二年生のソーシャルワーク基礎演習では、グループワークの機会が多くとても新鮮だった。そして新野さんのニーズや支援方法をグループのメンバーと考えることは私にとってとても良い経験になった。ニーズを考える時、私とは全く違う視点から考えているメンバーもいて、このように自分では考えつかないようなことを共有できることはグループワークの強みだと思う。同じグループのメンバーがみんなとても良い人で、私が新野さんの支援方法について調べていてわからないことなどを話すと、全員がまじめに考えて一緒に調べてくれた。お互いにアドバイスをしあいながら最終的には全員が納得のいく発表になったと思う。発表が終わった時、私はこのグループでよかったと心から思ったと同時に、グループ活動でなければここまでできなかったと感じた。このソーシャルワーク基礎演習のグループワークがあったことによってグループのみんなと仲良くなれて、ソーシャルワーク基礎演習の授業が終わった今でもよく話をするほどになった。逆に、「新野さんの支援方法をグループごとに発表する」という目的がなかったら、ここまで仲良くなっていなかったと私は感じる。発表するということは学生にとっては大きなことである。みんなが同じ目的で同じ状況にあったため仲間意識が強くなり団結力も回を増すごとに深まっていったのだろう。

 

 前期のソーシャルワーク基礎演習を通して、得た知識がとても多かった。それはソーシャルワーカーならではの知識だけだはなく、これから生きていくうえで大切なこともおおかった。この新井ゼミが前期だけであるという事実を知った時は非常に悲しくて落ち込んだ。このソーシャルワーク基礎演習でまなんだことをこれからの人生に生かしていく。